素人でもできる
HDDの修理と復旧方法
2012/12: 初版
2018/11: 更新
2018/11: 更新
目次
1. はじめに
ハードディスクドライブが故障した!
無情にもエラーの発生したハードディスクドライブ
もしかしたらいつかあるかもしれないと思いつつ、家族の写真などが入ったハードディスクドライブ(以降HDDと呼びます)がバックアップ無しに壊れると、誰もが一瞬凍りつく瞬間です。
折角RAID機能(復元機能)のあるHDDでありながら、大容量に目がくらみにRAIDゼロで使った事を後悔しても後の祭りです。
ネットで調べると、素人にHDDの修理は無理だのクリーンルームが必要だの色々な事が書かれていて、兎にも角にも何も触らず復旧業者にコンタクトしろと、誘導される事になります。
HDDの中身
ですが、故障したHDDと同じタイプのHDDがあれば、素人でもそれなりの技量と知識があれば、かなりの確率で修理する事は可能です。
という訳で、基本的な修理方法と復旧方法をお伝え致します。
また最後に本紙読者から教えて頂きました、お勧めのHDD復旧業者をご紹介したいと思います。
2. HDD故障の現象確認
故障したHDDを復旧するに当たって、先ずやらなければいけないのが、単体HDDでの現象の確認です。
もうHDDが壊れているのは分かっていると思われるかもしれませんが、それはPCの中にあるときや、外付けハードディスクの中にあるときの話です。
PCも外付けHDDも、内部のHDDが壊れているとは限らない
もしかしたら故障の原因は、PCのマザーボードや電源回路の不良だったり、或いは外付けハードディスクの制御基板の可能性もありますので、単体HDDでも不良が発生するかどうか確認します。
1)必要な物
それでは、現象確認に必要な物を列挙しておきましょう。
①故障した単体HDD
先ず必要な物が、当然ながら故障した単体HDDです。
3.5インチと2.5インチの単体HDD
本来でしたらここでの最終確認が終わるまで、単体HDDが本当に故障しているかどうか断定できないのですが、ここでは取り敢えず故障した単体HDDと呼ぶ事にします。
これは当然お手元にあると思いますが、もしまだPCや外付けハードディスクの中でしたら、分解して取り出しておいて下さい。
故障した単体HDDを、PCや外付けHDDから取り出す
取り出し方が分からない場合は、ネットでご自分のPCや外付けハードディスクの分解方法を検索してみて下さい。
意外に親切に解説した記事が見つかるしれません。
②USB変換アダプタ(USB-ATA/SATA変換器)
次に必要な物が、USB変換アダプタです。
これは単体HDDに電源を供給し、更にPCとHDDをUSBケーブルで接続して交信するためのアダプターです。
これがあれば故障したHDDの復旧作業だけでなく、使わなくなった単体HDDを一時的に外付けHDDとしても使えますので、思い切って1台購入しておきましょう。
なおHDDのコネクタは、シリアルのSATAとパラレルのIDEがありますが、今時のUSB変換アダプタはどちらにも対応していますので、気にする事はありません。
IDEコネクタ(左)とSATAコネクタ(右)
なお上の図の様に、IDEコネクタはパラレル信号なので幅広、SATAコネクタはシリアル信号なので、それより幅が狭くなっています。
またいずれも4色のケーブルが付いているのが、電源用コネクターです。
③作業用PC
またこの作業を行なうには、正常に動く作業用PCが1台必要になりますので、事前に確保しておきましょう。
MACでも可能ですが、本書ではウィンドウズを使った復旧方法をお知らせ致します。
④データ保存用HDD
そして最後に必要なのが、復元したデータを保存するための外付けのHDDです。
もちろん作業用PCのHDに保存しても良いのですが、往々にして容量が足りなくて、復元データを目の前にして、オロオロしてしまう事があります。
また動作が不安定なHDDの場合、一度はアクセスできたのに、外付けのHDDを用意して電源を再投入したらアクセスできなくなったというのも良くある事です。
このため、なるべくでしたら作業の前に十分な容量の外付けHDDを用意しておきましょう。
また、よもや2度と同じ目には遭いたくないと思いますので、ここは多少高くてもRAID機能付きの外付けHDDを購入しておきましょう。
2TB(USB) 2TB(NAS) 3TB(USB) 6TB(USB) 8TB(USB)
ちなみにRAID機能とは、万一その中のHDDが1台故障してもデータを復元できる機能です。
RAID機能には、復元できない(役立たずの)RAID0から、複雑で高速化できるRAID5まで色々ありますが、一番単純でいざとなったときに復元が簡単な2つのHDDに同じデーターを書き込むRAID1(別名ミラーリング)が一番無難です。
この場合、必要な容量の2倍のHDDが必要になりますが、保険だと思えば安いものです。
ですので2TBと書かれたRAID1対応のHDDの場合、使える容量は1TBになりますので、ご注意願います。
RAID機能は完璧ではない
2018/11:追記
このRAID機能付きHDDについて、新たに分かった事がありますので、ここでお知らせしておきます。
例えRAID1(ミラーリング)に設定しても、突然RAID崩壊と呼ばれるRAID機能自体が故障してしまい、いきなり全データが取り出せなくなる事もあります。
このため、多少手間ではありますが、幣サイトとしてはデータのバックアップは2個の外付けHDDに保存しておく事を強くお勧めします。
またクラウドサーバーに格納する手もありますが、月々の契約料の方が高くつく可能性が高いので、HDD2台の方が得策だと思います。
なおHDDは、容量が2倍になっても価格は1.5倍程度ですので、写真や動画を多く保存される方は、多少無理をしてでもPCの2~3倍程度の容量の物を買っておいた方が、後で買い足すより何かと便利で合理的です。
ついでに言っておきますと、ネットワークでつなげるNAS(Network Attached Storage)タイプの外付けHDDよりも、USB接続タイプのHDDの方が速くて単純で便利です。
NASは使うな
2018/11:追記
データを共有する場合や、頻繁にアクセス場合でしたら良いのですが、単にデータのバックアップ用でしたら、NASは全くお勧めできません。
何故ならば、NASは主にリナックスで管理されており、万一HDDでエラーが発生した場合、一般的な復旧ソフトではデーターの回収作業ができないためです。
この観点からもバックアップ用HDDは、USB接続タイプが断然お勧めです。
現在NASをお使いの方は、早めにUSB接続タイプのHDD2個体制にする事を強くお勧めします。
2)USB変換アダプタとの接続
それでは現象の確認作業に移ります。
先ず外した単体HDDにUSB変換アダプタを接続します。
具体的にはUSB変換アダプタ付属の電源コネクタと信号コネクタを単体HDDに差し込み、USBコネクターを作業用PCに差し込みます。
故障した単体HDDにUSB変換アダプタを接続する
そして最後に、USB変換アダプタに付属しているACアダプタの電源プラグを壁のコンセントに差し込みます。
なお、上の写真では作業用PCにMACを使っていますが、Boot Campを使ってウィンドウズが動いています。
電源を投入すると、HDD内部のディスク(円盤)がウィーンと回転し始めるのが分かると思います。
もしディスクが回転する気配がない場合、おそらくハード上の問題が発生していると思われますが、その場合でも以下の手順でPCでHDDを認識できるかどうかを確認しておきましょう。
3) コンピュータ画面の確認
USB変換アダプタを介して単体HDDと作業用PCを接続したら、以下の手順で作業用PCから”コンピューター画面”を開きます。
ウィンドウズPCの”スタート”から”コンピュータ”を選択して、”コンピューター画面”を開く。
そうすると、HDDの状態によって以下の2種類の表示が現れます。
①単体HDDを認識する場合
もし単体HDDが本当に故障していれば、コンピューター画面には単体HDDは表示されない(PCが単体HDDを認識しない)と思います。
ですが、万一下図の様にうまく単体HDDを認識したら、急いで単体HDD内部のデータを作業用PC(もしくは外付けHDD)に吸い上げましょう。
単体HDD内のSystem Reserved (E:)とローカルディスク(F:)が認識された場合
この場合、単体HDDは正常で、単体HDDが入っていたPCもしくは外付けハードディスク側に問題があると言えます。
なお上の図の場合、単体HDDは一つなのですが、内部をパーティションで二つに分けて使っているので、ドライブEとドライブFの二つのディスクとして表示されています。
この場合必要なデータを吸い上げれば、それで作業は終了です。
②単体HDDを認識しない場合
上記は非常に幸運なケースで、HDDが本当に故障している場合、以下の様に単体HDDは”コンピュータ画面”に表示されないと思います。
単体HDDが認識されない(表示されない)場合
このため次の章で、故障の原因がハード的なものかソフト的なものか、更に調べてみます。
HDDの修理と復旧方法