予想外に使える
盗聴・盗撮器発見器(AWT-01)
はじめに
ここでご紹介するのは、旭電機化成株式会社の廉価版の盗撮・盗聴器発見器、AWT-01です。
旭電機化成株式会社のAWT-01
本器は一見オモチャの様に見えますが、盗聴器だけでなく盗撮器にも、また単純なFM変調の電波だけでなく、スクランブルの掛かった電波(特定の受信器でしか再生できない電波)、或いはデジタル変換された電波等の全ての電波に反応しますので、特徴をしっかり認識すれば、かなり有効な発見(探知)器となります。
ですので、心配性の方はとりあえず1台購入して身の回りをチェックする事をお勧め致します。
また更に心配性の方は、1台千円前後と比較的安価なので、複数台を気になる箇所に置いておき、頻繁にチェックする事をお勧め致します。
なお本頁の末尾に、本器の使用方法を小学生でも分かる様にまとめてみましたので、参考にして頂ければ幸甚です。
デザイン/操作性
3色(緑/黄/赤)のLED、動作ボタン、検知ブザー、アンテナと、外観を見る限りそれらしいのですが、どう見てもオモチャにしか見えないのが非常に残念。
ただし機能がシンプルな分、マニュアルを見る事なく誰でも使用でき、且つ小型で軽量のため常時携帯も可能と、もしこれで機能すれば操作性については申し分ありません。
評価結果
それでは早速、いくつかの盗聴器/盗撮器に近付けて、反応するかどうかを試してみましょう。
1)コンセント型の盗聴器
先ず最も良く知られている、市販のコンセント型の盗聴器(400MHz)です。
実際の盗聴器の中身
動作ボタンを押すと緑色のLEDは点灯するのですが、どんなに盗聴器に近づけても全く反応しません。
また動作ボタンを押した時のみ、何故かピッとブザーが鳴るときもあり、どうみても正しく動作している様に思えません。
アレ? やっぱりオモチャか?
がっかりして、これでこのレポートは終了と思ったのですが、念のため電池を確認した所、若干電圧が低下しています。
という訳で、電池を新品に交換して再度試験してみました。
そうするとナント、本機を盗聴器に数センチまで近づけると黄色のLEDが点滅し、更に接触する程に近づける赤いLEDが点滅しブザーも鳴動するではありませんか。
また前記しました動作ボタンを押した時のブザーの鳴動(誤動作)も無くなりました。
どうやら最初に反応しなかったのは、電池の電圧低下が原因だった様です。
2)小型盗撮器
更にこれもネット通販で良く販売されている、1100MHz帯域の盗撮機(一般名では防犯カメラ)でも試してみました。
すると、盗聴器と同し様にうまく反応しました。
少々長くなってしまいましたが、本器は盗撮器/盗聴器の電波を間違いなく検知可能です。
3)コードレスフォン/無線LAN
またさらに周波数の高いコードレスフォン、あるいは無線LAN親機(いずれも2.4GHz)にも近づけた所、両者とも合法的に強い電波を放射しているだけあって、数十cm以上離れた所でも反応しました
本器が反応したところ
上記結果から、本器は400MHz~2.4GHz(2400MHz)の電波に反応しており、多少EMI(電磁妨害)の知識のある者からすると、のこの大きさの機器でこれだけの帯域に反応するのは驚きです。
実際試しにAM/FMラジオを上記電波の発信源に近づけても、ノイズ(雑音)は殆ど聞こえなかった事からも、本器の検知力には感心します。
また このとき気が付いたのですが、本機を立てた場合と横にした場合で、検知する距離が多少異なりました。
垂直状態(距離45cmで検知) 水平状態(距離35cmで検知)
多分偏波(電波の振動方向)の影響で感度に差が生じますので、探査時には本機の向きを色々変えることが必要です。
4)携帯電話
また最後に携帯電話の横に本器を置いて、電話を掛けると、ほぼ同時にブザーが鳴動する事を確認しました。
余談ですが、携帯電話は未使用中でも基地局を探すために勝手に電波を発する事があります。
ただしそれがいつ行なわれているかを掴むのは、相応の測定器がないと難しいのですが、本器で簡単にそれを確認できる事が分かりました。
なお盗聴器と盗撮器で電波は異なると思われる方もいる様ですが、両者の電波は全く同じですので、盗聴器が発見できる物でしたら、盗撮器も発見可能です。
稀に変調方式(電波に音声信号等の乗せ方)が異なると言う方もありますが、本器においては全く同じと考えて頂いて構いません。
結論
上記結果から、感度が多少低いので一般の家庭ではさほど役に立たないのではないかとの指摘があるかもしれませんが、本書ではむしろ以下の理由により強くお勧めしたいと思います。
1)一般的な家庭で使うには難しいが、トイレ等の非常に狭い個室であれば、怪しい箇所を簡単にスキャンでき、盗聴器を探知できる可能性が高い。
2)一般の家庭においても、前述したコンセントタイプの盗聴器の様に、怪しいと思われる機器を分解する事なく該否判断できるだけでも、かなりのメリットがある。
3)盗聴器だけではなく、無線式盗撮器についても反応する。
使用方法のアドバイス
それでは最後に、小学生でも分かるように優しく、本器の正しい使用方法をお知らせ致します。
本器の動作チェックと練習を含めて、下の1)から順番に実施してみて下さい。
1)動作確認
先ず本器が正常に動作するかどうか、以下の手順で確認してみて下さい。
① 電波を出す物(コードレスフォン、無線LAN親機、無線LANの付いたPC、携帯電話等)を準備し、電源をONする。
なおコードレスフォン/携帯電話の場合、通話状態にして電波が出る様にする。
②本器の動作ボタンを押して、グリーンのLEDが点灯する事を確認する。
③本器を①で準備した発信源に近づける。
本器を通話中のコードレスフォンに近づける
③ 電波の発信源に近づくにつれて、LEDが黄色から赤色に変わり、ブザーが鳴動する事を確認する。
もし何も反応しないのならば、電池(CR-2032)を交換する。
なお本器は動作ボタンを押して1分以上立つと電源がOFFされますので、1分以上動作させるには、動作ボタンを押し続けて下さい。
2)偏波の確認
次に、前段で使った発信源を利用して、電波には向き(専門用語で偏波と呼びます)がある事を知って下さい。
具体的には、発信器側と受信器側のアンテナの向きが一致しているときに、電波が最も強くなるという特徴があります。
例えば、発信器(盗聴器)側のアンテナが垂直であれば、受信器(発見器)のアンテナも垂直にすると、電波が強くなり、早く検知する事が可能になるという訳です。
垂直 水平
これについては上記手順②において、本器を立てた(垂直)状態で発信源に近づけた場合と、横(水平)にした状態で近づけた場合で、反応する距離が異なることを確認して下さい。
3)周波数について
もし盗撮器或いは盗聴器の画像或いは音声を視聴するには、それなりに高価な受信器が必要になりますが、もしそれらを視聴する必要が無く、単純に電波が出ているかどうかを確認するのでしたら、本器で十分です。
市販盗聴器で良く使われている周波数(MHz)
前記した様に本器は、400MHz~2.4GHzまで反応しますので(仕様書では30MHz~2.4GHz)、市販の盗撮器/盗聴器については、これでほぼ発見可能と考えて頂いてまず問題ありません。
4)感度について
また電波の検知感度は高ければ高い程良いと思われるかもしれませんが、これは間違いです。
目には見えませんが電波(TV/ラジオ放送、携帯電話、防災無線、タクシー無線、無線LAN等々)というのは、皆さんの家の中に無数に飛び回っています。
このため余りに電波に対する感度が高いと、ブザーが常時鳴動し何が何だか分からない状態になります。
本器の場合、電波の発信源にかなり接近しなければ検知しない程度の感度ですので、むしろ盗撮器/盗聴器の発見には丁度良い感度と言えます。
一方、業務用の電波測定、検出(セキュリティ/医療)などの場面では電波、高周波への高い感度が求められます。
そのようなケースではRF検出器がレシーバーやRF回路に組み込まれることがあります。
5)探索開始
以上が全て分かった所で、お勧めの探索方法は以下の通りです。
①先ずは上記2)動作確認方法に沿って本器が正常に動作する事を確認します。
②音が出ると稼働する盗聴器がありますので、少し大きめに音楽等を掛けます。
②本器の動作スイッチを押して、気になる箇所に発見器を近づけて反応するかどうか確認します。
その際本器の待ち方(垂直/水平)を変えて確認します。
③もしテレビ、PC、プリンタ等に反応しても、それは普通の事です。
念のためにそれらの電源スイッチを切るか、電源プラグを抜いて、本器が反応しなくなればそれで問題ありません。
ただしもしそれでも反応する様でしたら、電池で駆動する盗聴器が仕組まれている可能性がありますので、本器が反応した部分を分解して確認する必要があります。
④電源コンセント、テーブルタップ、二俣コンセント、やぬいぐるみ、リモコン、時計等に反応したら、盗聴器が仕掛けられている可能性が大いにありますので、分解して怪しい物が付いていないか確認します。
⑤部屋をくまなくチェックしたら終了です。
四畳半程度の大きさで、徹底的に行なうと30分程度は掛ります。
6)購入
購入は以下から可能です。
まとめ
まとめますと、以下の通りです。
①本機は軽量小型しかも安価で、周波数に関係なく見えない電波を検知してくれる。
②盗聴・盗撮が気になる方は、本機を常時携帯して、気になる箇所をこまめにスキャンする事をお勧めする。
③本機が正常に動作するかどうかは、電池の消耗を含めて、電話子機、無線LAN、携帯に近づけて確認できる。
盗聴・盗撮器発見器(AWT-01)