Apple Watchは、とても腕時計と呼べる代物ではなかった
Apple Watchが失敗した10の理由と1つの根本原因 |
May 2015
はじめに
昨年4月24日(金曜日)、Apple Watchが日米で同時発売されました。
当初はメディアでも大きく取り上げられましたが、その後は全く耳にしなくなりました。
それもそのはずで、売り上げは惨憺たる状況の様です。
一部のアナリストは、年内の販売台数が1千万台あるいは、2千万台と間抜けな予測をしていましたが、ことここに至っては500万台すらおぼつかないのではないかといった状況です。
恐らくApple Newtonと同様、アップルの倉庫には発売前に製造したApple Watchが売れ残っているのでしょう。
1983年に発売し大失敗したApple Newton
この後Appleは暗黒の時代を迎える事になる
という訳で、本書ではApple Watchが売れなかった理由を徹底的に分析してみたいと思います。
そして最後に、Apple Watchが売れなかった根本原因に迫ってみたいと思います。
似た様な記事は山ほどありますが、本筋に迫ったのは本書だけだと(勝手に)自負しております。
そして誰にも言いたくないのですが、この状況を簡単に且つ確実に打破できる唯一無二の方策を、最後に示しておきます。
なお本年(2015)10/27に予定されいる、Appleの第4四半期(7-9月)決算発表の前にも関わらず、”売れない理由”ではなく”売れなかった理由”と書かせて頂いています事、ご容赦願います。
結論
それではいつもの様に、先に結論を述べましょう。
恐らくAppleもその競合他社も、なぜApple Watchがこんなにも売れなかったのか、分析を急いでいる事と思います。
ですが、Apple Watchが売れなかった理由は非常に単純明快です。
腕時計としての機能が、余りにもお粗末だったからに他ありません。
何故その結論に至ったかについては、以下を読んで頂ければ、何方もご納得頂けると確信しております。
1. Apple WatchはiPhone 6より高い
さて、売れなかった理由を一つずつ見ていきましょう。
売れない最大に理由は、何と言ってもその価格でしょう。
ご存じでしょうか?
最も売れ筋モデルであろうステンレス外装のApple Watchは、何とiPhone 6よりも高いのです。
例えば、Apple Watchの一番安いモデルは、以下の様にiPhone 6 の一番安い16GBモデルよりも高いのです。
72,144円 73,224円
更にApple Watchの一番高いモデルは、何と同じく一番高いiPhone 6 Plus の128GBモデルよりも更に1万円以上も高いのです。
132,624円 143,424円
唖然としませんか?
iPhone 6の子機(端末)であるApple Watchの方が、親機よりも高いのです。
コストが掛っているから仕方がないと思われるかもしれませんが、Apple Watchは所詮ベルトの付いた電子機器ですので、量産効果で限りなく原価は下げられます。
調子に乗って、利ざやをどんどん上乗せし過ぎた価格設定です。
消費者だってバカではありません。
売れる訳がありません。
2. Apple Watch Editionの値段はぼったくり価格
それでもApple Watch Editionと比較すれば、Apple Watchの値段は可愛いものです。
恐らくApple Watch Editionは、Apple Watch大失敗の象徴的存在になるでしょう。
外装に18金を使ったApple Watch Editionの値段は、一番安くて138万円、一番高くて235万円もするのです。
比較のためにこの値段で買えるクルマを探してみると、一番安いモデルでしたら、今話題のスズキハスラーが買えるのです。
そして、Apple Watch Editionの一番高いモデルは、トヨタプリウスとほぼ同じ金額なのです。
それでも使われている18金の量が多ければ相応の価値があると言えるのですが、18金の買い取り価格を1gで3,500円とすると、38mm品で10万円、42mm品で14万円程度の金しか使われていません。
ならば相応の装飾加工がしてあるかと思えば、iPodやiPadど同様いつもの鏡面仕上げです。
今回唯一の救いなのは、iPodやiPadのアルミ外装と違いとにかく金ですので、どんなに研磨して金属粉が舞い上がっても、中国の研磨工場で悲惨な爆発事故は起こさないという事くらいでしょうか。
おまけに腕時計の中身にあたるムーブメントは、本体価格4~5万円のApple Watch Sportと全く同じで、デジカメやPCなどと同様に毎年その価値は下がっていきます。
Apple Watch Editionを購入して3年も経てば、旧旧旧モデルとのレッテルが貼られ、その価値は金価格にまで一気に下がるのです。
一体どんな方か購入するか、知りたいものです。
と言うより、Appleが計画した販売予定個数はいくつで、過去に一体いくつこれが売れたのか、正確な数値が知りたい所です。
Apple Watch Editionは20種類存在しますが、もしかしたら世界中で1個も売れなかったモデルが存在するかもしれません。
3. Apple Watch Sportsはちゃちなアルミ製
次に、最も安いApple Watch Sportsを見てみましょう。
この場合、価格は38mmサイズの46,224円と42mmサイズの52,704円の二種類です。
この価格を他社のスマートウォッチと比較してみましょう。
これらと比べると一番安いApple Watch Sportsでさえ、やはり他社よりも格段に高いのです。
そして特に指摘したいのは、Apple Watch Sportsは外装が安いアルミニウム製という事です。
持って使うiPadやiPodならともかく、身に付ける物でアルミ製とは驚きです。
なぜならばアルミは汗で簡単に腐食し、さらに酸化アルミが皮膚に付着すると、黒く汚れるのです。
試しにアルミの1円だまを手のひらに乗せて、擦りつけてみて下さい。
手のひらが黒く汚れるのを、簡単に確認できます。
表面にアルマイト処理がしてあるとは言え、腕時計ですので、すぐに擦れて表面処理は禿げてしまいます。
iPadやiPodの様に、シリコンカバーを付ける訳にもいきません。
5万円前後もする時計で、外装が腐食し易いアルミ製の腕時計は、今までに見た事がありません。
と言うより、お余りにもお粗末です。
4. 42mmサイズは男性でも持て余す
価格の次はその大きさです。
Apple Watch には42mmと38mmの2モデルが存在しますが、先ず42mmモデルを見てみましょう。
一般的な腕時計でしたら、男性用は直径42mmと38mmの2種類が存在しており、形状は異なるものの見た目の大きさは直径42mmの腕時計と同じ程度と考えて良いでしょう。
ですが直径42mmの腕時計は、明らかにスポーツもしくはカジュアル用なのです。
ですので、この42mmサイズのApple Watchを、ビジネスやフォーマルの席で使うのはかなりの勇気が必要です。
実際に42mmモデルを腕に付けてみて、購入をためらった方も多いのではないでしょうか?
ただし男性の場合は、38mmモデルを選択する余地があるのですが、問題は女性の場合です。
5. 38mmサイズは女性にはデカ過ぎる
そういう訳で、次に38mmモデルを見てみましょう。
これを一般的な女性用の腕時計と比べると、下の図の様になります。
これもは、どう見てもデカ過ぎる事が明らかです。
これを付けて似合う女性は、よほど腕の太い女性だと言ったら、言い過ぎでしょうか?
スリムな女性に、到底似合うとは言えない大きさです。
6. 丸型が無い
大きさの次は、その形状です。
地面に棒を挿して時刻を知った太古から始り、古今東西、大昔から男性用も女性用も時計は丸型が基本です。
日時計
実際時計売り場で四角腕時計は、極めて希有な存在です。
Men's Watch Ladies Watch
にも関わらず、Apple Watchは四角しかないのです。
Apple Watchを携帯端末だと考えれば、表示画面に無駄のない四角がベストなのですが、これを一たび腕時計として捉えると、誰がどう考えても丸型が基本になります。
実際、一昔前(1970年代)に作られたデジタル腕時計はどれも四角でしたが、現在ではデジタル表示であっても丸型が普及している事からも、それが伺えます。
という訳で、Apple Watchを時計として捉えると、四角はありえません。
7. 電池がもたない
電池が1日も持たないという話は、どなたもご存じの話でしょう。
これもApple Watchを携帯端末だと考えれば、毎日充電する事に違和感はさほどないでしょう。
ですが、これを腕時計として捉えると、毎日充電が必要となると冗談じゃないという事になります。
これも前述と同様に、Apple Watchは腕時計の基本機能から完全に逸脱しています。
8. 魅力的なアプリが無い
Apple Watchの代表的なアプリは以下の通りですが、どうしてもApple Watchが無ければできないというものは全くありません。
1)ヘルスケア
心拍計、加速度計、GPSを使ったカロリー計算等ができる様です。
ただし本機にはGPSは搭載されておらず、iPhoneのGPS機能を流用する様です。
この機能のみでしたら、山の様にデバイスは存在します。
2)音楽再生
本機のみで音楽再生もできるそうです。
ただし聴くためにはBluetooth対応スピーカーが必要との事です。
3)通話
iPhone5以降が必要ですが、本機を使って通話が可能だそうです。
ですので、もしそれ以前のiPhoneをお持ちでしたら、iPhone 6の買い換えが必要になります。
4)通信
iPhone経由でメールの送受信もできるそうです。
5)時計
正確な時計にもなるそうです。ただし電池が切れなければです。
6)電子決済
Apple Payを使って電子決済ができるそうですが、日本で普及する可能性は全くありません。
9. 防水機能が劣る
これもご存じかもしれませんが、Apple Watchの防水レベルはIPX7(防浸形)です。
IEC
規格 |
種類 |
保護の程度 |
対象機種 |
IPX8 |
水中形 |
潜水状態での使用に対して保護されている。 |
SONY SmartWatch 3 |
IPX7 |
防浸形 |
水に沈めても影響がないように保護されている。 |
Apple Watch |
IPX6 |
耐水形 |
あらゆる方向からの強い噴流水による有害な影響がない。 |
|
今どき数千円の腕時計でさえ、水深10m防水が当たり前です。
これも、Apple Watchを携帯端末と考えればソコソコ妥当かもしれませんが、腕時計として捉えると明らかに不十分です。
10. 普段は真黒だ
最後に余り知られていない話をお伝えしましょう。
Apple Watchは、画面を見るため表示部を上に振りかざすと液晶が点灯するのですが、それ以外は常に画面は真っ暗なのです。
腕時計ですので、いちいち振りかざさないでも、チラッと時間を見る事はよくあるものです。
にも関わらず、この時計は見ようとしない限り、常に真っ暗なのです。
真っ暗と書くと多少聞えは良いのですが、悪く言えば顔の無い妖怪のっぺらぼうの様なものです。
うす気味悪くありませんか?
10. まとめ
さて、まとめです。
ここまで読んで頂ければ、Apple Watchの問題が明確になってきたのではないでしょうか?
そうなのです。
Apple Watchは、①腕時計と②携帯端末と③装飾品としての市場を狙って売り出されました。
ところが、腕時計としての基本性能が全く以って未熟なのです。
実際、①価格は最低でも4万6千円もしながら、②デカイし、③四角いし、④外装はアルミだし、⑤電池は1日持たないし、⑥防水性能は劣るし、⑦表示部は普段は真黒な時計なんて、一体どの誰が買うのでしょう。
Apple Watchに限りませんが、今後スマートウォッチを更に拡販するためには、先ずは時計の機能を現行の腕時計レベルまで引き上げなければ、最も多いEarly
Majorityの購買層が購入する筈がありません。
恐らく来年Apple Watch 2が発売されるのでしょうが、端末機能だけ上げて、時計の機能がこのままなら、同じ轍を踏むのは間違いないでしょう。
断言します。
Apple Watchは、とても腕時計と呼べる代物ではない。
だから失敗したのだと。 |
そして、もしどうしても腕時計の性能を満足できないのなら、名称をApple Wrist Terminal(腕に付ける端末機器)等に変えるべきです。
そうすれば、商品市場は小さくなるものの、ここに上げた半数以上の問題が簡単にクリアできます。
クックCEOが就任して以降、SIRIの失敗、地図アプリの大失敗等あり、ここでまた鳴り物入りで販売したApple Watchまでもが失敗だと分かったら、株価のもう一段の下げは間違いないでしょう。
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