Pnasonicビューティ・トワレ(DL-GW40)
便座のフタが自動で開かない場合の対処方法
1. はじめに
我が家の温水洗浄便座のフタが、自動で開かなくなってしまいました。
もっと詳しく言うと、人を検知すると自動で開閉してくれるフタなのですが、冬になって寒くなってきたせいか、開き切らずに途中で止まる様になってしまいました。
リモコンのボタンを押しても、ブーと駆動音がするものの、やはり上がり切りません。
暖かくなればまた完全に開く様になるだろうと思っていたものの、やはり不便です。
という訳で、重い重い腰をようやく持ち上げて修理する事にしました。
もしかしたら、潤滑スプレーを一吹きするだけで回復する可能性もありますので、是非お試しください。
また読者の方より耳より情報を頂きましたので、合わせてお伝え致します。
概要
修理に移る前に、我が家の温水洗浄便座の概要をお伝えしておきましょう。
モデルはPnasonicのビューティ・トワレ、DL-GW40です。
発売日が2005年ですので、初期ロットは製造後既に10年以上経過しています。
ネットで調べると”便座が上がりきらない”、”便フタが開ききらない”、という口コミ情報はしばしば出てきますが自分で修理したという記事は見つかりません。
ですがこのフタが開き切らない原因は、ほぼフタを開閉する駆動部の潤滑オイル切れだと思って間違いないでしょう。
なぜそう言い切れるかと言いますと、実は数年前にも同じ事があり、一度当該部を分解して注油して直した事があったためです。
ただし今から数年前の事ですので、分解方法を含めて細かい事をすっかり忘れてしまいました。
恐らく似たような事がまたあると思いますので、備忘録を兼ねて本記事を書くことにしたという訳です。
また他社のウォシュレット(TOTO)やシャワートイレ(INAX)、クリーンウォッシュ(東芝)、アラウーノ(Pana)等も同じ様に直せると思いますので、是非参考にして頂ければと思います。
簡易対処方法
さて、本格的に修理を始める前に、簡単に直せないか確認しておきましょう。
100%これで直る訳ではありませんが、もしフタが全開しない理由が、フタの回転軸が重くなっているだけだとしますと、ここに注油すれば、もしかしたら直るかもしれません。
特にフタの回転軸は一番荷重が掛かる場所で、尚且つ軸受側も同じプラスチックですので、削れて回転が重くなっている可能性があります。
やり方は非常に簡単で、フタを外して駆動側の回転軸に潤滑剤をスプレーするだけです。
フタを外して駆動側の回転軸に注油する
ついでに便座のヒンジも外して駆動側の回転に注油する
もし上の写真の様に注油しても改善しない場合は、覚悟を決めて以下の手順で修理を行なうしかありません。
必要な物
それでは分解に移る前に、修理に必要な物を確認しておきましょう。
①プラスのドライバー
②マイナスのドライバー
③グリスとグリス塗布用の筆
なお、グリスについては注意が必要です。
量販店に売られている様な一般的な金属用のグリスですと、ケミカルアタックによってプラスチックを劣化させてしまい、最悪プラスチックのギヤが簡単に割れたりします。
そこでお勧めなのが、下にある田宮のプラモデル用のセラグリスです。
少々高いですが、これでしたら、どんなに塗りまくってもプラスチックを劣化させる事もありません。
また100円ショップで買えますが、ついでに筆も一緒に発注してしまいましょう。
⑤スプレーグリスとスプレー潤滑剤
スプレー潤滑剤はどこの家庭にもあると思いますが、モーターの注油用にスプレーグリスも用意しておきます。
スプレー潤滑剤も使えますが、これはオイルを洗い流す効果もあるので、粘度の高いスプレーグリスの方が潤滑効果は長持ちします。
⑥カバー開け工具
パッチン止めされた上カバーをコジ開けるのに、隙間に差し込む工具が必要になります。
マイナスのドライバーでも代用可能なのですが、金属ですとどうしてもカバーに傷を付けてしまいますので、できればプラスチック製の工具が理想です。
そこでお勧めなのが、以下のパンク用修理品に入っている黒い工具です。
これでしたら、カバーに傷を付ける事もなく、且つ丈夫で簡単に折れる事もありませんので、かなりお勧めです。
分解手順
それではいよいよ作業に取り
1) 電源プラグを抜く
2) 水道の元栓を閉める
今回の修理では水回りは触れないのですが、念のために元栓は閉めておきましょう。
3) 右側面の四角ボタンを押し、便座本体を持ち上げて土台から外す。
パナソニックの温水便座の場合、便器下のネジを緩めないでも、簡単に便座が取り外せる様になっています。
このため、上の四角ボタンを押しながら、便座の奥側を持ち上げると、簡単に便器から分離する事ができます。
4) 便座を手前にずらし、便座奥のビス2本を外す。
便座が外れたら、便座を手前にずらして、奥側にあるビス2本を外します。
5) フィルターを外す。
念のためにフィルターも外します。
6) フタを外す。
フタは回転部を両側に引っ張れば、簡単に外せます。
7) 上カバーを外す。
上カバーはビスを外した後ろ側を少し持ち上げて、手前に引きながら持ち上げれば、簡単に外れるかと思いきや、そんなに上手くはいきません。
このため、力ずくで手前のパッチン爪を外すしかありません。
そこで活躍するのが、前述のカバー開け工具(写真のオレンジ色の工具)です。
これを上カバーの隙間に差し込んで、テコの原理でバキッと外します。
7) コネクターを外す。
上カバーを持ち上げると中身が見えますので、内側のコネクターを外します。
このとき、組立時に迷わない様に、ケーブルの引き回し方や、コネクターの配置を覚えておきます。
もし心配でしたら、面倒がらずに写真を撮っておきましょう。
8) 人感センサーを外す。
黒いのが人感センサー
上カバーを完全に外したら、フタ開閉ユニットを外しますが、その前に邪魔な光学式の人感センサー(黒い部品)を外します。
9) フタ開閉ユニットを外す。
ビス3本を外して、上カバーからフタ開閉ユニットを外します。
フタ開閉ユニット
10) フタ開閉ユニットの外観写真を撮る。
早速分解したい所でしょうが、その前に外観の写真を撮っておきます。
軸(青丸)とポンテンションメーター(赤丸)
ここで重要なのは、フタと便座の軸の向き(青丸部)と、二つの軸の向きを検知するポテンションメーター(ボリューム)(赤丸部)の位置です。
分解すると分かりますが、フタはコイルスプリングの力によって、開閉力が軽くなる様な機構になっています。
ですので、フタ開閉ユニットを上カバーから外すと、内側の歯車が必然的にこのバネの力が解除された状態になりますので、その安定状態におけるポテンションメーター等のの位置を写真に残しておきます。
11) ビス6本を外して開閉ユニットを開ける。
開閉ユニットを止めているビス6本を外します。
12) グリスを塗布する。
あとは筆を使って、セラグリスをギヤや軸受けに万遍なく塗布します。
忘れてはいけないのが、フタと便座の軸受とモーター軸受への注油です。
フタと便座の太い軸受(赤矢印)は、歯車を全て外してからセラグリスを塗布しておきます。
またモーターの軸受(青矢印)は、前後の軸受にスプレーグリスを塗布しておきます。
12)組立
グリス塗布が終わったら、分解と逆の順番で外した部品を元通りに組み上げます。
なお開閉ユニットを組み立てたら、分解前に撮影した写真を見て、ポテンションメーターの位置等が変わっていないか確認しておきましょう。
13)動作確認
全てを組み上げたら、動作確認をして終了です。
フタと便座の回転動作は、学習機能がありますので、電源投入後数回開閉動作させる事で、開閉終了後の無駄なモーターの回転動作(モーターの振動音)を減らしてくれます。
人を検知するとフタが跳ね上がって、リモコンの閉ボタンを押すと最初は早く、最後にゆっくり閉じれば完璧です。
補修部品
2019/9:追記
この開閉ユニットですが、補修部品としてたまにネットオークション等で出品されているとの情報を読者の方より頂きました。
DL-MD40用の電動開閉ユニット(型番:YM0007521)
上はその一例ですが、形状は多少異なるものの、オリジナルの開閉ユニットと組み合わせれば何とか使えそうな感じです。
もし開閉ユニットを分解しても復帰できなかった場合、気長にネットで探してみるのも手かもしれません。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
上手く修理できましたでしょうか?
今回はパナソニックの温水洗浄便座を使ってご説明しましたが、分解手順や機構はどれもほぼ同じですので、本書を参考にして頂ければ、他モデルの修理においても参考になると思います。
便座のフタが自動で開かない場合の対処方法(DL-GW40)