室外機の騒音の足し算と引き算
2020/09/22: 発行
はじめに
読者の方より室外機の騒音の計算方法を教えてほしいのとメールが届きました。
室外機が2台になったら騒音はどうなるのか?
もしかしたら同様に計算したい方もいらっしゃるかもしれませんので、忘れない内に記事にしておきます。
なおここでご紹介する計算方法のは、下にあるエアコン等の仕様書に載っている運転音(音響パワーレベル)に対応しています。
パナソニックのエアコンの仕様書の抜粋
このため、市販の騒音計で測った音圧レベル(フォース)の足し算には使えません事、ご注意願います。(音圧レベルと音響パワーレベルの違いはこちら)
騒音の足し算
例として、音響パワーレベルが60dBの室外機Aと40dBの室外機Bの騒音の和を求めてみましょう。
騒音の足し算は、以下の式で求められます。
ですので、この場合でしたら以下の様になります。
この計算を自力でするのは大変なので、エクセルで計算できる様に、以下の様に書き直します。
2台の騒音(dB) | =10×Log10(10^(60/10)+10^(40/10)) |
=60.034dB(正確には60.04321374dB) |
このイコールを含めた右側の式をそのままコピーしてエクセルに貼り付けると、60.034dBと表示され、室外機A1台の騒音と殆ど変わらない事が分かります。
ついでに、50dBの室外機がもう1台増えたと(全部で3台)すると、以下の様になります。
2台の騒音(dB) | =10×Log10(10^(60/10)+10^(40/10)+10^(50/10)) |
=60.453dB |
相変わらず大して変化しない事が分かります。
最後に60dBの室外機が2台になったらどうなるか計算してみます。
2台の騒音(dB) | =10×Log10(10^(60/10)+10^(60/10)) |
=63.010dB |
60dBと63dBでしたら、音のパワーは3dB(2倍)異なるのですが、人が聞き分けるのは少々難しいかもしれません。
騒音の引き算
騒音の足し算は現実に行う事はまずないと思いますが、一応お知らせしておきます。
この場合は、先ほどの足し算の結果を流用したいと思います。
もし室外機Aと室外機Bが同時に駆動している騒音が60.034dBで、室外機Aの騒音が60dBだった場合、室外機Bの騒音を求めてみましょう。
はたして40dBとなるでしょうか?
その場合の式は以下の様になります。
これを先ほどと同じ様にエクセルで計算できる様に書き直すと以下の様になります。
騒音B(dB) | =10×Log10(10^(60.043/10)-10^(60/10)) |
=39.978dB |
見事に40dBになりました。
それでは恐らく興味があると思いますので、2台の騒音が60dBで室外機Aの騒音が60dBだった場合、室外機Bの騒音を求めてみましょう。
騒音B(dB) | =10×Log10(10^(60/10)-10^(60/10)) |
=#NUM! |
#NUM!とは、エクセルのエラー表示で、計算できない0の対数を求めてしまったためです。
という訳で、1台が60dBで2台の騒音が60dBだった場合のもう1台の騒音は計算不能という事になります。
もしかしたら騒音Bは0dBだと思われるかもしれませんが、0dBとは音が全く無い事を表していないのです。
分かり易く言えば、室外機Bの騒音は限りなくゼロに近い値になるため、対数の計算式では計算不能になってしまうという訳です。
この辺の事はこちらに書いていますので、もし宜しければご覧下さい。
まとめ
それではまとめです。
①室外機AとBの騒音の足し算は、以下の式で求められる。
なお同じくらいの騒音の室外機が2台に増えても、騒音は殆ど変わらない。
② 2台の騒音から室外機Aの騒音を引いた室外機Bの騒音は、以下の式で求められる。
少しはお役に経ちましたでしょうか。
室外機の騒音の足し算と引き算